重量木骨の家とは?ご紹介します

現代の住宅建築において、安全性とデザイン性を両立させることは、家を建てる上での重要な要素です。
特に、近年は重量木骨構造が注目を集めています。
この技術は、安全性を高めるだけでなく、住宅デザインの可能性を広げる画期的な建築手法です。
そこで、本記事では、重量木骨の家とはいったいどんな効果を持った家なのか、そのメリットやデメリット、そして独自の耐震性能に至るまで解説します。

□重量木骨ってなに

重量木骨とは、「重量木骨プレミアムパートナー」と認められた業者がSE構法を用いた設計をした家のことを指します。
この時の「重量木骨プレミアムパートナー」とは、SE構法と呼ばれる特殊な建築設計を提供できる業者の中でも、経験や実績が豊富にある工務店が認められるものです。
また、SE構法とは、safety engineeringの略称であり、工学的に安全な構法という意味を持ちます。
このように、重量木骨の家とは木造建築の中でも非常に安全性が高く、実績のある業者が作った安心できる家といえるでしょう。

□そもそもSE構法ってなに

建築には構造計算という考え方があります。
これは、大型のビルなどの建築で義務図けられているもので、設計段階で事前にどれほどの安全性があるのかを計算しておくことを指します。
しかし、戸建ての木造建築の場合その構造計算は義務化の対象から外れます。
もちろん、それによって全く安全でない、なんてことはありません。
しかし、SE構法を導入した建築物は、この構造計算を木造建築の戸建てにも行うことで、さらなる安全性を得られるでしょう。
また構造計算は、建物だけでなく地盤強度が含まれた基礎部分も含めた計算をされます。
このように、SE構法とは従来の木造建築よりも鉄筋コンクリートで作るビルやマンションを建てる場合に近い考え方といえます。

□重量木骨の家のメリット

重量木骨の家は、その設計から非常に安全であるといわれています。
それ以外にも大きく3つのメリットが存在します。
1つ目、「木造でありながら非常に高い安全性」。
最初に紹介するメリットはもちろん安全性です。
この安全性とは、SE構法に裏打ちされたもので、構造計算からはじき出されるうえに、重量木骨の家には構造用集成材が主に使われます。
この構造用集成材とは、十分に乾燥した木材を強度ごとに計算し張り合わせた特別な木材を指し、優れた耐久性と強度を持っています。
なぜ、通常の木材ではなく構造用集成材を使うのでしょうか。
この構造用集成材を使う利点は大きく2つあり、1つは品質が保証されていること、もう1つは建材ごとの品質のばらつきが小さいことがあげられます。
実は、この構造用集成材にはJAS規格が存在しており、一定の品質が保証されています。
また、2つ目の利点は構造計算を導入する上で非常に大きな意味を持ちます。
通常の自然に近い木材は、乾燥の度合いや内部のヒビなど強度がバラバラなので、構造計算が難しいですが、構法用集成材は強度や耐久度といった品質が一律なのでち密な計算には欠かせません。
このように、重量木骨の家は木造建築と構造計算によってさらなる安全性をもった家を実現するでしょう。
2つ目のメリットは、「優れたデザイン性」。
1つ目のメリットで説明したように、重量木骨の家は非常に優れた耐久性と強度を持っています。
そして、この強度を利用することで、木造建築では難しいデザインでも実現しうるでしょう。
通常の木造建築では、柱がない大きな空間を作ることは難しいです。
なぜなら、柱のない空間が大きいほど、その天井や上の階を支えている梁や柱には大きな負担がかかるからです。
また、外に大きくはみ出した空間を作ることも同様の理由から、木造建築には難しいでしょう。
しかし、SE構法を利用した重量木骨の家では、上記のような通常の木造建築では難しいデザインの家でも実現できる可能性が高くなります。
3つ目のメリットは「自分だけのオーダーメイド」。
重量木骨の家とは、経験と実績が豊富な数少ない施工業者実現されます。
この施工業者は、経験や実績に保障された、知識と確かな技術を持っています。
木造住宅の特性とその地域や風土を知り尽くした専門家なので、きめ細やかな気遣いと様々な要望への対応も行うでしょう。

□重量木骨の家のデメリット

もちろんメリットがあればデメリットもあります。
重量木骨の家を建てる際に吟味する必要があるデメリットを解説します。
「狭小住宅には不向き」。
重量木骨は非常に優れた強度を持っていますが、その分梁や柱が太くなってしまいます。
それによって室内が通常の木造建築よりも狭くなります。
また、狭さだけでなく高さにも大きく影響します。
法律上、建築物には高さの制限が存在するので、その高さ制限の中で太い梁や柱を使用した場合、室内が非常に狭くなるでしょう。
重量木骨の家は地震に対して大きな効果を発揮しますが、生活空間が圧迫されてまで導入するよりも、別の方法で強度を補うほうが良い場合があるので、事前にすることをお勧めします。

□重量木骨の家とは?効果についてご紹介!

ここでは、重量木骨の家が「揺れない、倒壊しない」という評判を得ている理由を深掘りします。
吹き抜けの美しさと耐震性の関係、大震災時の実績、そして熊本地震シミュレーション結果を通して見ていきましょう。

1:吹き抜けのデザインと耐震性のバランス

吹き抜けはおしゃれで魅力的ですが、地震や自然災害時には耐震性の観点で懸念されがちです。
壁や柱が少ない大空間は、安全性に影響を与えると考えられています。

しかし、SE構法の採用により、これらの懸念を解消しています。

2:阪神淡路大震災以降のSE構法の開発と実績

1995年の阪神淡路大震災を契機に、多数の木造建築住宅が倒壊した経験から、SE構法が開発されました。
この構法は中越地震、東日本大震災、熊本地震といった大地震でも、倒壊や全壊、半壊の被害を受けていない実績があります。
これはSE構法の高い耐震性能が証明されたと言えるでしょう。

3:熊本地震シミュレーションにおける耐震性の確認

2016年の熊本地震では、耐震等級2の木造住宅でも倒壊する事例が報じられました。

しかし、SE構法を採用した住宅は、国土交通省の地震解析ソフトを使用したシミュレーションで、耐震等級2であっても無傷で耐えていることが確認されています。
このシミュレーション結果は、壁量計算と構造計算の違いを浮き彫りにし、SE構法の優れた耐震性能を示しています。

以上の点から、重量木骨の家、特にSE構法を採用した住宅は、美しいデザインと高い耐震性を両立していることがわかります。
おしゃれでありながら、災害時の安全性も確保されている、これが「揺れない、倒壊しない」という評判の背景にあるのです。

□SE構法はリフォームでも利用可能

SE構法は、建築の未来を形作る画期的な技術です。
通常は新築の注文住宅に多く採用されますが、この革新的な構法はリフォームにおいても大きな可能性を秘めています。
ここでは、SE構法を活用したリフォームの可能性に光を当て、その魅力を紐解きます。

1:構造の柔軟性と耐震性

SE構法の最大の特徴は、その柔軟性にあります。
従来の建築方法とは異なり、梁と柱を新しく結びつけることで、壁や柱の数を減らしつつ、高い耐震性を実現します。
これは、既存の家をリフォームする際に大きな利点となります。
また、柱や壁の配置を自由に変えられるため、住まいの間取りを思いのままに再設計できます。

2:間取りの自由度

SE構法を用いることで、リフォームにおける間取りの自由度が格段に向上します。
例えば、愛着のある家を大きく変えずに、リビングをより明るく開放的な空間にしたり、家族のニーズに合わせて専用スペースを設けたりできます。
仕切りを増やしたり減らしたりといった間取りの変更が容易になり、ライフスタイルや家族構成の変化にも柔軟に対応できるのです。

3:多様な建築スタイルの実現

SE構法は、平屋から三階建てまで、さまざまな建築スタイルに適応します。
例えば、中庭を設計した平屋建ての住宅では、リビングから中庭へ直接出入りが可能で、開放感あふれる生活空間を実現できます。
また、狭小地での建築においても、従来の構造では難しいとされた三階建ての実現が可能になり、限られたスペースを最大限に活用できるのです。

□これから家を建てるなら重量木骨の家がおすすめ!

これからの時代、家づくりのトレンドは、安全性と環境配慮の両立です。
高気密高断熱のエコ住宅が求められる中、特に注目されているのが重量木骨の家です。

*安全性と耐久性の高さ

1:地震や台風に強い

重量木骨構造は、その名の通り重い木材を使用するため、地震や強風に対する耐久性が高いのが特徴です。
しっかりとした骨組みが、家全体をしっかり支え、自然災害から家族を守ります。

2:長期間にわたる安心

重量木骨の家は、時間が経っても強度が落ちにくいため、長く安心して住めます。

*環境配慮と快適性

1:高気密高断熱のエコ住宅

SE構法を採用した重量木骨の家は、高気密高断熱の特性を持ちます。
これにより、冷暖房の効率が上がり、光熱費の削減にもつながります。
また、快適な室内環境を一年中保てるため、生活の質が向上します。

2:自然素材の利用

重量木骨の家では、自然素材を多く使用します。
これにより、室内空気が清浄に保たれ、健康に過ごせます。
また、木の温もりが心地よい空間を作り出し、リラックス効果も期待できます。

*デザインの自由度

1:多様なデザインが可能

重量木骨の家では、柔軟な設計が可能です。
開放的なリビングや、趣味の空間など、理想の家を具体化できます。

2:長期的な価値

重量木骨の家は、その堅牢さと美しさから、長期にわたって資産価値を保持しやすいです。将来的に売却や相続を考えた場合にも、有利な選択肢となるでしょう。

家は一生に一度の大きな買い物。
未来を見据え、安全で快適、かつ環境に優しい家づくりを考えるなら、重量木骨の家がおすすめです。

□まとめ

重量木骨の家は、その安全性、デザインの自由度、そして環境に配慮した建築スタイルで、現代の住宅建築の新たな潮流を作り出しています。
特に、SE構法を用いた設計により、地震や台風に強く、長期的な耐久性を持つことが確認されています。
また、高いデザインの自由度と、環境に優しい高気密高断熱の特性は、快適な生活空間を提供してくれるでしょう。

 

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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