一般的に、概ね10坪から15坪の家が狭小住宅と呼ばれています。10坪から15坪…?と聞いても、家の広さは想像しにくいものです。10坪は約33㎡、15坪は約50㎡、畳にすると約20畳から30畳の広さの家ということです。

一般的な住宅は、およそ30坪程度なので、その半分くらいの坪数の家が狭小住宅です。一般的な住宅の半分、またはそれ以下の坪数の狭小住宅は、家族で暮らせる家なのでしょうか?

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暮らしやすい広さの家は家族構成に合わせた坪数の家

暮らしやすい家の広さは、家族構成によって異なります。理想の広さと、現実的な広さも違います。また、地域によって、理想とされる床面積も変わります。標準的な家の広さを知る為に、国土交通省が作成した生活基本計画に示されている、居住面積水準を見てみましょう。

都心部では、地方に比べて、非常に土地の価格が高額である為、地方と都心部では、水準とされる面積が、別々になっています。さらに、居住面積水準には、最低居住面積水準と、誘導型居住面積水準という2種類の水準が示されています。

最低居住面積水準とは、【世帯人数に応じて、健康で文化的な住生活の基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準】です。最低限、これだけの面積は確保しましょうという指針の数字です。

具体的には、1人暮らしでは25㎡、2人暮らしでは30㎡、3人の暮らしでは、40㎡、夫婦と未就学児の3人暮らしでは、35㎡、4人の暮らしでは、50㎡、4人のうち、未就学児が1名含まれている場合には45㎡とされています。

最低居住面積水準

  • 単身者 25㎡
  • 2人以上の世帯 10㎡×世帯人数+10㎡

誘導型居住面積水準とは、【世帯人数に応じて、豊かな住生活の実現の前提として、多様なライフスタイルを想定した場合に必要と考えられる住宅の面積に関する水準】です。

これだけの面積が確保できれば、豊かで快適な暮らしが出来ますという指針です。そして、この誘導型居住面積水準は、都市居住型と一般型に分かれています。

都市居住型は、【都心とその周辺での共同住宅居住を想定】一般型は、【郊外や都市部以外での戸建住宅居住を想定】した数字です。

都市居住型では、1人暮らしでは40㎡、2人暮らしでは55㎡、3人の暮らしでは、75㎡、夫婦と未就学児の3人暮らしでは、65㎡、4人の暮らしでは、95㎡、4人のうち、未就学児が1名含まれている場合には85㎡とされています。

都市居住型誘導居住面積水準

  •  単身者 40㎡
  • 2人以上の世帯 20㎡×世帯人数+15㎡

一般型では、1人暮らしでは55㎡、2人暮らしでは75㎡、3人の暮らしでは、100㎡、夫婦と未就学児の3人暮らしでは、87,5㎡、4人の暮らしでは、125㎡、4人のうち、未就学児が1名含まれている場合には112,5㎡とされています。

一般型誘導居住面積水準

  • 単身者 55㎡
  • 2人以上の世帯 25㎡×世帯人数+25㎡

さらに、住人1人1人のプライバシーが確保されていること、家族団らんの場があること、お客様をお迎えできるスペースがあること、読書や映画鑑賞など、家庭内で趣味を楽しむ場があること、キッチン、浴室、洗面所などの水回りと、家族構成に対応するサイズの収納スペースが確保されていることなども、記されています。

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家族構成に合わせた坪数とは?

都市居住型誘導居住面積水準を基にして具体的に家族構成に合わせた坪数を考えてみましょう。

都市居住型での居住面積の坪数
1人暮らしでは40㎡ /約12坪、2人暮らしでは55㎡ /約17坪、3人の暮らしでは、75㎡/約23坪、夫婦と未就学児の3人暮らしでは、65㎡ /約20坪、4人の暮らしでは、95㎡ /約30坪、4人のうち、未就学児が1名含まれている場合には85㎡ /約26坪ということになります。

例えば、夫婦2人と子供が2人の4人家族だった場合に、いずれ子供は成長するので、大人4人として考えると、最低でも15坪以上、理想の暮らしを実現する為には、約30坪が必要だということです。

狭小敷地に30坪の家を建てる方法として考えられることは、縦に伸ばす、つまり3階建てにすると方法です。3階建てにすれば、単純に考えて、10坪の建坪で30坪の床面積を得られます。30坪の床面積があれば、1かにビルトインガレージを組み込むこともできます。

4人家族が暮らす30坪の床面積の家では、その中に、家族それぞれの居室とリビングダイニングキッチン、浴室、洗面所、トイレ、階段、玄関、必要であればビルトインガレージを割り振ります。30坪あれば、余裕を持った間取りにできます。

ビルトインガレージを作ったとしても、2階、又は3階のフロアごとに、それぞれ6畳程度の夫婦の寝室と子供部屋を作るフロア、リビングダイニングキッチンを作るフロア、1階に浴室と洗面室とビルトインガレージというような間取りができます。ビルトインガレージを作らなければ、それぞれの居室を広くしたり、収納スペースを増やしたりすることもできます。

しかし、実際には、それよりも少ない坪数で、快適に暮らせる狭小住宅も数多く存在します。少ない坪数で、快適な暮らしが出来る家にする為には、室内環境についても同時に考えなくてはなりません。周囲を他の建物に囲まれている細長い家では、室内環境を調える為の工夫が必要だからです。

日当たりと風通しの良い室内にする
周囲に他の建物が密集している地域では、3階建の家の1階と2階は、日当たりと風通しが悪くなってしまいます。その為、トップライトと組み合わせた吹き抜け、スキップフロア、スケルトン階段などを、間取りに取り入れます。

プライバシーを確保する
住宅が密集した地域では、道路や隣家からの視線が入りやすい環境にあります。その為、ハイサイドライトや縦長のすべり出し窓を取り入れ、外部からの視線を家の中に侵入させない工夫をします。

防音と遮音をする
隣家の生活音や、周辺の商業施設や道路からの騒音を、家の中に侵入させないと同時に、自分の家から出る生活音を気にせずに暮す為には、防音と遮音ができる家にしなくてはなりません。防音、遮音機能のある窓、断熱材、塗装などを取り入れて、音の出は入りを防ぐ工夫をします。

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坪数別 10坪以下でも快適に暮らせる狭小住宅の建築事例

坪数別に、完成した狭小住宅の建築事例をご紹介します。

敷地10坪。スキップフロアがキャットタワーになる、こだわりの狭小住宅
SE構法 地上3階建 延床面積 約55~60㎡

 

家全体がキャットタワーになっているスキップフロアの家です。

ご夫婦で星空を楽しむバルコニー

狭小でも2台駐車の家
木造(SE構法)地上3階建 延床面積 65~80㎡

間口の小さい敷地に建った立体駐車場のある家です。

吹き抜けとスケルトン階段の組み合わせで、家の中に光が溢れています。

狭小2世帯の家 建築面積6坪
木造(SE構法)地上3階建 65~80㎡

天空率を活用して床面積が確保された建築面積6坪の二世帯住宅

トップライトから陽光が差し込む明るい寝室

HOPEsの狭小住宅への思い

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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