「都心部で暮らしたい」「戸建てに住みたい」「年収に見合う価格で家を建てたい」

このような条件を全て叶えようとする時、多くの人は狭小住宅を選択肢の一つとして考え始めます。なぜなら、都心部の土地の価格は高額だからです。ここ数年の日本国内における家庭の平均年収と、都心部の土地の価格を考え併せると、平均的な広さ30坪程度の住宅を建てると家計が圧迫されてしまう恐れがあります。せっかく念願の家が建てられたとしても、ゆとりのない生活、住宅ローンに追われる家庭経済になってしまえば、幸せな日常は壊れてしまうかもしれません。

では実際に10坪から15坪の狭小住宅を建てた場合、経済的な負担は抑えられたとしても、快適な暮らし、後悔しない家にすることができるのでしょうか?狭小住宅を選択肢に入れた人が不安に思うことは、狭い家で快適に暮らせるのか?建てたことを後悔するような家になるのではないか?ということでしょう。狭小住宅を建てて後悔する恐れのあることについて考えてみましょう。

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狭小住宅で後悔しやすい間取り

部屋を区切り過ぎ、狭くて動きにくいと感じるような間取りになってしまうことがあります。しかし、部屋を広くしたい為に、脱衣所と洗面所を兼用にし、最低限の面積にしてしまうと、使い勝手が悪くなり後悔します。脱いだ衣服を置く場所がない、狭くて衣服の脱ぎ着や身体を拭いたりする動作がしにくいというようなことになってしまうからです。夫婦だけの暮らしであれば、浴室、脱衣所、洗面所、トイレをひとまとめにして、広めにとることもできますが、家族での暮らしやお客様の多い家庭ではひとまとめにしてしまうと不便です。そのような場合には、浴室を最小の0,75坪に抑え、洗面脱衣室には1坪以上使うと、使いやすい洗面脱衣室にできます。

ダイニングとリビングも、ダイニングテーブルに全員が座った後は動きにくい、ダイニングセットとソファセットの間隔が狭く、動きにくい上に見た目もごちゃごちゃしているというような状態になると、後悔のもとになってしまいます。

敢えてダイニングテーブルとソファのセットを置くような間取りにせず、ダイニングテーブルと組み合わせられるソファにする、キッチンカウンターから繋がっている造り付けのダイニングテーブルにするなど、間取りのプランと同時に家具の大きさと置き方も考えていくことが必要です。

家事負担が大きくなることも後悔の理由の一つです。3階建てで、3階のベランダやルーフバルコニーに洗濯物干し場があり、1階に水回りがあれば、家事労働は一気に増えます。それまでマンション住まいだった人にとっては、かなり負担になります。濡れて重い洗濯物を抱えて3階のベランダや屋上まで運ぶ→干す→取り込んで、下の階のリビング等で、アイロンかけをし、畳む→各階に収納するという一連の作業を毎日しなくてなりません。

その為、縦に動線が拡がる狭小住宅では、家事動線を考慮し、洗濯機の設置位置を工夫する、水回りを2階に持ってくる、三階建てでも二階にインナーバルコニーをつける、1階に洗濯物を干せるスペースを作るなどの間取りの工夫が必要です。

後悔しない間取りにする為のポイントは、暮らし始めてからの生活動線を想定して間取りを決める、家具の大きさや位置を間取りと並行して進めるということです。

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狭小住宅で後悔しやすい住宅の性能

吹き抜けやリビング階段のある家は冬寒い?

 

 

 

 

 

 

狭小敷地に建てる住宅なので、平屋や二階建ての住宅にすると、どうしても十分な居住面積が確保できません。もちろん夫婦だけの暮らしであれば、二階建でも事足りるかもしれません。しかし、子供がいる家族や二世帯で暮らす家族であれば、少ない床面積では、各自のプライバシーが守れる家、快適な暮らしが出来る家にするのは難しいでしょう。その為、狭小住宅では家族の人数に応じて三階建ての家にするケースが少なくありません。ところが三階建ての家にすることで室内環境が悪くなる可能性が出てきます。

都心部の狭小敷地は、周囲をマンションや戸建て住宅、店舗などに囲まれている為、もともと日当たりと風通しが十分に得られません。細長い三階建ての家ならば、さらに1階2階の日当たりは悪くなります。その結果、昼間から照明をつけなくてはならないほど室内が薄暗い家、風が通らず換気の悪い家、ジメジメしやすい家になってしまいます。

このような問題を解決する為に、間取りに吹き抜けやスキップフロアを採用し、光と風が十分に採りこめるようにします。しかし、吹き抜けやスキップフロアは新たな問題を生みます。空間が広がる為、暖房の暖かさが拡散して暖房の効率が低下し、冬場には寒い家になってしまうのです。新築時に吹き抜けやスキップフロアを採用して後悔している人の後悔の原因の多くは、ここにあります。暖房の効率が低下すれば、寒いだけではなく、光熱費も嵩んでしまうので、二重の後悔になってしまうのです。

しかし、吹き抜けやスキップフロア、リビング階段があっても、家中がポカポカ暖かい家もあります。その差は何でしょうか?住宅の断熱性と気密性の差です。断熱性と気密性が高性能であれば、空間の拡がった家であっても、寒い家にはなりません。寧ろ狭小住宅の方が広い家よりも家中を暖かくしやすいという強みに繋がります。

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狭小敷地の選び方

都心部で狭小地を選ぶ人は、仕事先へのアクセスがしやすい路線の駅から近い、通いやすい場所に子供の学校がある、買い物が便利、病院が近くにあるなどの立地条件を最も優先することと思います。それこそが狭くても都心部に住むことの意味だからです。しかし、それだけで敷地を選んでしまうと、間取りの失敗の後悔どころの話ではなくなります。間取りは失敗しても、最悪リフォームという解決法がありますが、土地の条件は代えられないからです。立地条件を最優先するとしても、他にもチェックしておかなくてはならないポインを確認していきましょう。特に、土地を探している中で、同じ坪数なのに安いと感じた場合には、安い理由があるはずなので、しっかりチェックすることが大切です。

  • 災害に対する立地条件 立地条件には利便性だけではなく、災害に対する立地条件もあります。大地震が起きた時に液状化する恐れがある、大型台風や大雨で浸水する恐れがあるというような地域ではないことを確認する必要があります。
  • 地盤の強度 地盤に耐震性の高い家を建てるだけの強度がない場合、地盤改良の費用が嵩みます。建築を始めるにあたって、施工を請け負う施工店が専門業者に依頼して地盤調査を行います。しかし、土地探しの時点で、インターネット上に公開されている地域ごとのボーリングデータや区役所で閲覧できる地盤に関するデータをあらかじめ調べておくこともできます
  • 土地についている法的な制限 建築基準法には敷地のある地域や、周辺の環境に応じて様々な制限や制約がかけられています。例えば、隣家や道路に対する建物の高さの制限、防火地域や準防火地域であれば、耐火構造に関する制約などがあります。

これらの土地の質や法的な制限によって、建築費以外の費用が発生する、間取りの自由度が損なわれる、耐火構造にする為に建築費が嵩むなどの問題が起こります。都心部ではこのような制限が全くないというような地域はほとんどないので、制限がある土地全てを外すわけにはいきません。ある程度の妥協も必要です。しかし土地選びの時点でこのような注意点について知っていれば、他の土地と比較しやすいので、確認しておくに越したことはありません。その上で、譲れる条件と、譲れない条件を振り分け、優先順位を決めていくことが大切です。

後悔しない敷地選びのポイントは、施工を依頼する工務店のアドバイスを受けるということです。土地に関しては、専門的な知識がないとわからないことが多いからです。自分で不動産会社を通して探しながら工務店に土地が見つかる都度、アドバイスをしてもらう方法と、始めから工務店に土地探しを含めて施工を依頼する方法があります。

どちらの方法をとるにしても、土地は購入してしまった後に手軽に交換できるものではありません。くれぐれも慎重に探しましょう。

HOPEsの狭小住宅への思い

 

 

 

 

 

 

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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