都心の暮らしでの利便性が捨てがたい人にとっては、郊外の戸建てより、都心部のマンションの方が暮らしやすいでしょう。都心部には住みたいが、マンションには住みたくない、戸建ての住宅に住みたいという人には、都心部の狭小住宅を検討されるのではないでしょうか?

田舎への移住を考える人が脚光を浴び、田舎暮らしに人気が集まった時期もありましたが、仕事があり、友人や仲間がたくさんいる都心部での暮らしは現実的です。結婚や出産を機に自分たちの住まいを持ちたいと考えた時にも、都心で暮らしたいと考えるでしょう。しかし、現時点での国内の平均年収と、都心部の一般的な30坪程度の戸建て住宅の価格を考え合わせると、都心部に広い家を建てれば家計を圧迫されることは目に見えています。

無理をして都心部に30坪程度の戸建て住宅を建てれば、住宅ローンに追われて、余裕のある生活ができなくなる恐れがあります。そのような事情から、狭小住宅を選択する人が増えているのではないかと考えられます。狭小住宅は30坪程度の住宅よりは土地が安く購入できるため、低価格で建てることができるからです。しかし、建築費は通常の住宅より嵩みます。なぜ狭小住宅の建築費は高くなってしまうのでしょうか?

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狭小住宅の価格が高くなる理由

単純に考えれば、30坪の家と15坪の家を比べれば、土地の価格も建築費も2分の1になりそうな気がします。しかし、狭小住宅には通常の住宅とは異なった様々な問題点があります。その問題点を克服しなくては、快適に暮らせる家にはなりません。具体的な狭小住宅の問題点を確認しておきましょう。

  • 日当たりと風通しが悪い 狭小住宅は、周辺を建物に囲まれている為、十分に光と風を取り込むことができません。晴れた日でも部屋の中が薄暗い、風が通らない為換気が悪く、ジメジメしているというような居住環境になってしまいます。
  • 居住面積が足りない 一人暮らしであれば、10坪程度の家でも快適に暮らせるかもしれませんが、家族で暮らすには10~15坪の家では、十分な居住面積が確保できません。
  • 周辺の音がうるさい 道路や周辺の家、地域によっては商業施設からの騒音や生活音に悩まされる恐れがあります。反対に、自分の家の赤ちゃんの泣き声や、ペットの吠える声が近隣に迷惑をかけているのでは?と不安になることもあります。
  • 駐車スペースがない 狭小住宅では法規制の制限内で敷地ギリギリまで家を建てるので、庭に駐車スペースを作れません。

このような問題点を無くし、明るく風通しの良い快適な家、家族全員が居心地よく暮らせるだけの居住空間のある家にする為には、設計上の様々な手法が使われます。具体的には、居住面積を確保する為の3階建てや地下室、日差しと風を採り入れ、狭さが発生させる圧迫感を無くす効果のある吹き抜け、視線の抜けを作るスケルトン階段、間仕切壁がなくても部屋を区切れるスキップフロア、家の中に車を置くビルトインガレージなどです。

ところが、これらの手法を取り入れるには、住宅の性能を高めなくてはなりません。床や壁の面積が減るので、耐震性が低下する、家の中の空間が縦にも横にも繋がっているので冷暖房の効率が低下するといったリスクが生じるからです。地震に弱い家では安心して暮らせません。冷暖房の効率が落ちれば、夏は暑く、冬は寒い室内環境になってしまい、快適な暮らしはできません。その為、狭小住宅では通常の住宅よりも高い耐震性と断熱性、気密性、防音遮音性が求められるのです。

耐震性を高める為には、RC造、木造であれば重量鉄骨の家にする必要があります。どちらの方法であっても、一般的な木造住宅より建築費が嵩みます。断熱性と気密性、防音遮音性を高める為には、グレードの高い建材、塗料、窓を使う必要があり、その部分でも建築費が嵩みます。

さらに、狭小敷地では工事が困難という問題点があります。道路や周辺の家との位置関係によっては、建築工事に必要な資材を運搬する車両が敷地のそばまで入ってこられないことがあります。入ってこられたとしても、敷地内に資材を置く場所が足りないこともあります。そのような場合には、職人さんが手作業で資材を運びこむ、近隣に資材置き場を借りるなどの方法が取られます。その結果、工事に関しても費用が嵩みます。

でも、狭小住宅にもローコスト住宅はあるよね?なぜ安くできるの?と思われる方もいらっしゃるでしょう。その理由を考えてみましょう。

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ローコスト狭小住宅とは?

注文住宅には2つのタイプがあることをご存知ですか?ハウスメーカーやハスメーカーの下請けの工務店などが建てている規格型注文住宅と、設計事務所やデザイン住宅を得意とする工務店などが建てる完全な注文住宅です。

規格型注文住宅は、外観、間取り、建材、住宅設備機器などに規格があり、その中から好みに合わせて選択するという注文住宅です。その為、完璧に自分たち家族に調和する家にすることは難しいです。しかし、大量に建材や住宅設備機器を仕入れることができるので、建築費は抑えられます。それに加えて、規格があるので、何もないところから選ぶよりは楽、打ち合わせに時間が少なくてすむという利点もあります。

完全な注文住宅は、外観、間取り、建材、住宅設備機器など全てに関して自由に作り出していける注文住宅です。家族構成や家族の暮らし方に寄り添った間取り、自分たち家族の好みに合った外観や内装の家が出来上がります。

そして狭小住宅にもこのタイプは当てはめることができます。規格型注文住宅の狭小住宅と完全な注文住宅です。規格型注文住宅の中には、有名ハウスメーカーが提供している高級な注文住宅から、ローコスト住宅に特化しているハウスメーカーが提供している注文住宅まであります。有名ハウスメーカーでは宣伝費などに莫大な費用をかけているので、大量仕入れをしていても、建築費は高額です。反対にローコスト住宅に特化しているハウスメーカーは、大量仕入れに加えて、広告宣伝費を抑えて低価格を実現しています。

一方、設計事務所やデザイン住宅を得意とする工務店が作る注文住宅が、広告宣伝費は抑えているにもかかわらず、建築費が嵩む理由は何でしょうか?それは、家を建てようとしている家族の理想の家を実現する為に、外観や間取りのプランを作り、そのプランを実現させる為のグレードの高い建材や工法を選ぶからです。

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快適な暮らしが出来る狭小住宅の条件

 

 

 

 

夏涼しく、冬暖かい家、家族全員が居心地の良さを感じる家、道路や周辺の家からの騒音や視線に煩わされずプライバシーが守れる家は、快適な暮らしが出来る家です。自分の家を外から見る度に、満足を感じる外観や外構も快適な暮らしの要素です。

しかし、大切なことはそれだけではありません。劣化しない住宅という要素も非常に大切です。グレードの高い建材を使う理由は何でしょうか?もちろん耐震性や断熱性など、家の性能を上げる為でもありますが、劣化する速度が非常に緩やかであることも、グレードの高い建材の特徴です。

家は丁寧にメンテナンスをしていれば、100年以上経っても快適さを維持できます。しかし、劣化の進行が速い建材を使用していれば、メンテナンスの頻度を上げなくてはなりません。10年に一度程度で住むメンテナンスが5年ごとに必要となってしまえば、メンテナンスの費用も嵩み、ストレスにもなります。そのような家での生活は快適とは言えないでしょう。

質の良い家こそが快適な暮らしが出来る狭小住宅の条件ではないでしょうか?質の良い家を建て、質の高い生活を手に入れてください。

HOPEsの狭小住宅への思い

 

 

 

 

 

 

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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