新築住宅をお考えの方へ!地震に強いSE構法について解説!

近年、日本各地で増加している震災に備えて、ご自宅の耐震性や安全性が気になってきているという方も多いではないでしょうか。
本記事では、そういった方にオススメしたいSE構法のメリットやデメリットについて解説していきます。

□そもそもSE構法ってなに?

■SE構法とは

こちらの構法は建築技術の1つのことを指しており、安全な工学的構法という意味です。
阪神淡路大震災の被害を受けて新たに生み出された建築方法であり、その後に発生した東日本大震災や熊本地震などの大型の震災時においても、非常に強い耐震性を有していると判明した建築技術です。

元々は鉄骨建築などで主に用いられていたラーメン構法と呼ばれる技術を木造建築に流用したものがSE構法となっています。

■具体的な特徴とは

木造で建築を行う際に、柱や梁などの木材を強度の高いものに置き換えて、耐震性を強化しているという特徴があります。
また、肝心の結合部の素材は木材ではなく金属の部品を使用して結合しているため、従来の木材同士の結合に比べて削減される木材の量が抑えられ、結合部の強度の上昇効果が見込めます。

鉄骨建築と同じように、柱と梁を金属部品で固定する単純な構造をしているのがSE構法の最大の特徴です。

また、地震の際に家屋が倒壊する最大の理由として挙げられる、強い揺れによる柱の地面からの引き抜きに対しても、有効な対策が取られています。
従来の木造建築は、基礎の上に土台が設けられ、土台と柱を固定する構造になっています。

どれだけ柱と土台の結合部の強度を高めても一度ズレてしまうと土台に徐々に負荷がかかってしまい、柱が地面から根こそぎ引っこ抜けるという問題がありました。
事実、阪神淡路大震災などの大規模災害で顕著であったのがこの柱の引き抜きによる倒壊であったと言われています。

その点、SE構法では、金属部品を用いて柱と基礎が一体となっている構造を採用しているため、上記の引き抜き現象に対して非常に強い耐久力を有しています。
SE構法は従来の木造建築と比べて、素材ごとの強度などの数値に基づいたシミュレーションがしっかりとなされています。
そのため、鉄骨建築なみの構造計算が行われているため信頼性が高いでしょう。

□どんなメリットがあるの?

上記に述べた通り、SE構法の最大の特徴は、梁や柱の素材に強力なものを使用し、それぞれの結合部を金属パーツにて補強を行なっているという点です。
そえゆえに、梁の強度が高くなることによって、自ずと必要な柱の本数を減らせます。
柱の本数を減らすと必然的に空間の耐震性を維持するために必要な壁の数も少なくできるでしょう。

このため、従来の在宅構法ではなし得なかった広さの空間を確保することができ、住宅設計の自由度が飛躍的に向上することが、SE構法最大の特徴と言えます。
柱の本数が減少することによりすっきりとして開放的な空間を生み出す事ができるのはSE構法の特権です。

狭小住宅においても、吹き抜け部や屋上などを安全に有効活用できるのは魅力的と言えるのではないでしょうか。
また、素材から結合パーツまで全ての素材の強度について綿密な構造計算がなされており、従来の構法と比較して震災時の耐震性の信頼性が高いというメリットもあります。

□デメリットはあるの?

もちろん、メリットばかりではなくデメリットも存在します。
第一には、在来工法と比べると、明らかに実績の少なさでしょう。
市場に出回るまでにSE構法は現在20年程度の歴史しかありません。
そのため実績がやや少ないと言えます。

また、素材の耐久性がシミュレーションされて証明されているとしても、そこで得られた数値はあくまで理論的なものに過ぎず、実際の使用を踏まえた実績数は少ないかもしれません。しかし、20年強の歴史の中で、在来工法と比較し圧倒的な信頼性の高さがあることも実証されています。

第二に、SE構法を行なっている及び適切に構造計算ができる工務店の数が少ないという点が挙げられます。
通常の在来構法と異なり、SE構法を行うには特定の資格及び認定を受ける必要があるため、施工できる業者が限られています。

第三に、コスト面です。平屋でも2階建てでも全ての建物を構造計算をします。また、基礎、プレカット部材、施工上の明確なルール。全て構造を確からしいものにするためにルール化しており、対応できる工務店も限られており、物作りをする、基礎屋さん、大工さん、電気屋さん、設備屋さんなど、全てルールに従い、精度を追求できる職人さんたちでつくられます。そのために、今迄の在来工法の職人さんの中でも、限られた職人さんや工務店でつくられます。材料も、労務も高くなるのがデメリットと言えるかもしれません。

また、建築に必要となる柱や梁の本数が少なくなる分、どのような面積の建築を行うかにも依りますが、結合部の補強にかかる費用や集成材の材料費、及び工賃が在来構法よりも高いでしょう。
通常の建築に使用される木材と比較して、SE構法での素材には運送費がかかる場合がほとんどです。

□SE構法の実用例について

SE構法の技術が利用されている例として、大型の体育施設や武道場、スケートリンクといった木造建築など、大きな空間と屋根を必要としている建築が挙げられます。

□まとめ

今回は震災に対して非常に強い耐震性を持つSE構法のメリット、デメリットについて解説しました。
正確な数値や、現代科学技術に基づいたシミュレーション、計算に則った信頼できる建築方法をお求めの方に最適な建築方法であると言えます。
今回の記事が、住宅の耐震性についてお悩みの方は参考にしてください。

著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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