清野廣道の家づくり ちょっと世間話・狭小住宅で失敗しないために!建てる際の注意点をご紹介!

狭小住宅は、地価の高い都市部でも一戸建てのマイホームが持てる、不動産にかかる税金が安く済む、などメリットの多い住宅形態ですが、狭さ・小ささゆえに生じる課題もあります。そのため、施工の際にはいくつかの点に注意する必要があります。

まず、基本的な注意点として押さえておくべきなのが、建築に要するコストが高くなりがちだということです。狭小住宅の建設用地は通常の住宅を建てるには適していない場合が多いのですが、それは広さだけではなく形状の面からも言えることです。三角形の土地、細長い土地など変形地であることが多いため、住宅の形状もそれに合わせる必要があります。そうなると、部材に無駄が出たり、強度を保つために柱の位置や本数に特殊な工夫が必要になったりして、建築費が割高になることがあります。

また、作業中も面積が小さいために敷地の前に大型トラックが駐車できなかったり、資材置き場が確保できなかったりすることで、通常の住宅建築よりも手間がかかる可能性が生じます。さらに、隣家との距離次第では足場を組むのに支障が生じ、工事がスムーズに進まないケースもあります。こうしたことも、コスト上昇の要因となります。

次は、住宅のデザインに関わる注意点です。まずは基本的な寸法についてですが、敷地の幅いっぱいに住宅を建てようとすると、先述したとおり建築作業が難しくなるだけでなく、建てて何年後かに必要となる外壁のメンテナンス作業にも支障が生じます。また、隣家との距離が近すぎると騒音トラブルの発生を招いたりもします。こうしたリスクは通常の住宅でも起こり得ることですが、狭小住宅の場合は限られたスペースにできるだけ生活空間を確保しようとする傾向があるので、特に注意が必要です。

一方、内部のデザインについては、狭さゆえの圧迫感を感じさせないための工夫が必要となります。中二階などを設けて床の高さをずらす「スキップフロア」を採用したり、吹き抜け空間を作ったりして、できるだけ開放的な室内空間づくりを心がけるようにすると、快適に暮らせます。また、天窓や中庭に向いた大きな採光窓を設置するなど、視覚的な広がりを演出する工夫も有効です。

最後に、公的な制約にも注意が必要です。わが国では土地の用途が法律によって定められており、具体的な指定は自治体が行っています。これにより、たとえば第一種低層住居専用地域に指定された地域では建物の高さが10メートルまたは12メートルといった具合にそれぞれ制限が設けられています。狭小住宅は土地を有効活用するために多層階になるのが一般的ですが、建設用地の高さ制限に抵触しないよう気をつける必要があります。

著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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