旗竿地のメリットとデメリットを解説します。

旗竿地と呼ばれる土地をご存知の方は少ないのではないでしょうか。
旗竿地は建物を建てる際には敬遠されがちな土地ではありますが、実はメリットも数多く存在します。

新しい住まいに狭小住宅を考えている方におすすめの土地です。
そこで今回は、旗竿地のメリットとデメリット、そして上手な利用法と整形地・不整形地のメリットとデメリットを紹介していきます。

□ 旗竿地とは

まず、旗竿地はどのような土地であるのかを紹介していきます。
旗竿地とは、土地の形が旗の形をした土地のことを示します。
通路部分が狭く、奥が広い形状になっているため、そのように名づけられました。
長方形や正方形などに区分された土地は整形地と呼ばれますが、旗竿地は広大な土地から整形地を切り分ける時に必然的に生じてしまう土地です。
このような理由から、土地が細かく区分されがちな都心部に多くみられる土地でもあります。

□整形地・不整形地とは?違いは何?

*整形地とは

整形地とは、長方形や正方形状で傾斜の少ない土地のことを示しています。
形が整っており建物が建てやすい形状なので、人気が高く土地価格は高い傾向があります。

*不整形地とは

不整形地とは、旗竿地のようにいびつな形をした土地のことを示しています。
建物が建てにくい形状なので、土地価格は低い傾向にあります。
不整形地の種類は様々で三角形や台形の形の土地や土地自体に傾斜があるものなどがあります。

整形地と不整形地の大きな違いは建物が建てやすい土地かそうでないかにあります。
整形地は建物が建てやすい分土地価格が高く、不整形地は比較的土地価格が低いことも特徴として覚えておいてください。

□整形地のメリットとデメリット

整形地のメリットは、土地の価値が下がりにくいことです。
建物を建てやすい形状の土地なので、人気も高く、売却する際も高値で売れます。

反対に、整形地のデメリットは、必ずしも理想通りの建物が建てられるわけではないことです。
建物を建てる時には、日影規制や斜線規制を考慮しなければいけません。

また、整形地は人気が高いため、土地価格も高くなりがちです。

□不整形地のメリットとデメリット

不整形地のメリットは、建物を建てる時に有効活用できないスペースが生まれるので土地価格が低いことです。

さらに、不整形地補正が入ることで都市計画税や固定資産税などの税金を抑えられます。
また、独特な土地の形や傾斜を活かして個性的な家にもできます。

一方で不整形地のデメリットには、いびつな形ゆえに建築作業の効率が落ちたり、理想的な形の家にしにくかったりすることが挙げられます。

不整形地は、家が建てにくく、デッドスペースが生まれやすいため、取引価格も低くなりやすいです。
さらに、土地を売る際に、買い手が付きにくいというデメリットもあります。

□不整形地に家を建てるポイント

*不整形地に家を建てるポイント

1.中庭を作る

不整形地の一つである旗竿地では、日当たりが悪く閉塞感のある部屋になってしまいがちです。
しかし、中庭をつくることで採光性の高い、開放感のある部屋を作れます。

整形地に中庭を作ると外部からの視線が気になって中庭でもリラックスして過ごしにくいことがあります。
反対に、不整形地であれば入り組んだ土地のおかげで周囲を気にせずにリラックスして中庭を使えます。

2.崖からの眺めを利用する

崖に面した土地であれば、崖地に眺めの良い建物を建てられます。
崖からの眺めを活かすために、崖側に窓の多い設計にするとより開放感のあふれる家にできるでしょう。
崖に面していれば、大きな窓にしても周りの視線が気になることはありません。

3.吹き抜けにする

不整形地は、住宅が密集すると部屋の中が暗くなりやすいです。
吹き抜けにして、採光性を高めることで開放感のある明るい家にできます。

*各不整形地の特徴と家を建てる注意点

1.三角地

三角地とは、三角形の形をした土地のことです。

三角形の土地は、四角い建物を建てるので角のスペースが余ってしまいます。
その特徴的な形を利用して、庭を作ったりウッドデッキを作ったりすれば、余った角のスペースを有効活用できます。
また、書斎スペースを作ることで秘密基地のような個性的な部屋を作ることもできるでしょう。

2.台形や平行四辺形

台形や平行四辺形の土地は、辺の片方が長い土地や角に角度がある独特の特徴を持っています。

三角形よりは整形地に近い台形や平行四辺形ですが、それでも四角い建物を建てるとスペースが余ってしまうことがあります。
台形や平行四辺形であってもその形に合わせた建物を作れば、唯一無二のデザインに仕上がります。

3.旗竿地

旗竿地とは、入り口が狭く奥のスペースが広い土地のことです。
入り組んだ形の旗竿地は、入り口が狭すぎると建築時に重機を使えないことがあります。
そのため、建築費用が上乗せされたり、建築可能な条件が狭まったりしてしまいます。

一方で旗竿地に中庭を作ったり、駐車スペースにしたりして上手く使えば、住居は静かで落ち着く空間にできます。
入り口が狭いと中に入っていきにくいので防犯面でも安心です。

4.傾斜地

傾斜地とは、地面に傾斜がついていて平行になっていない土地のことです。

傾斜地は土地に傾斜があるので、建物を作る場合はその傾斜をならす必要があります。
傾斜地は土地の価格が低い傾向がありますが、建物を建てる時に土地をならすために多額の費用が必要になるので、結果的に土地が安いことはメリットにはなりません。

活用方法として、傾斜地の低い位置に地下室やガレージを作ることで傾斜地の特性を利用できます。
さらに、高い位置にリビングを作れば日当たりや風通し、眺めの良い空間を作れるでしょう。

すべての不整形地はデメリットが前面に出てしまいなかなか買い手が付かない場合も多くありますが、独特の形を活かした個性的なデザインや設計をすることで、家づくりをより楽しめるという素敵なメリットがあるのです。

□ 旗竿地におけるメリットとは

* 安価な土地代

旗竿地のメリットとしてまず挙げられるのは土地の安さでしょう。
同じ大きさの整形地と比べておよそ2割安くなります。
金額で言うと、300万~600万円ほどのコストが削減されるでしょう。

* 静かに暮らせる

旗竿地は車やバイクの音をうるさいと感じることは少ないです。
道路から少し奥まった場所に旗竿地は立地するので、静かな住環境を手に入れられるでしょう。
バイクや車の反響音などの道路で発生する騒音が届きにくくなっています。

*防犯性が高く、プライバシーが守られやすい

旗竿地は土地の大部分が道路に面していないため、道路を通行する他人からの視線が届きにくくなります。
道路と玄関までの間には距離があるので、一般的な家に比べて侵入者を防ぐ効果も期待できるますよ。
また、旗竿地のアプローチは隣家から見えるので、防犯性も高まるでしょう。

*デザイン性に富んだ建物にできる

旗竿地は周りが住宅に囲まれているので、家の構造自体を工夫する必要があります。
普通の家を建てると、周りの住宅に遮られて日当たりが悪くなってしまいます。
また旗竿地にある家は、外の道路からは見えにくくなっているので、家の外観よりも内装に費用を回せるでしょう。趣味のインテリアや間取りなどを中心に、妥協せずに設計できるのは大きなメリットですよね。
内装デザインにこだわりたい方は検討してみてはいかがでしょうか。

□旗竿地におけるデメリットとは

*ライフラインの引き込み料が高くなる

多くの場合、ライフラインは道路に沿って引かれることが多いです。
しかし、旗竿地に建てた建物の場合は道路から離れた場所に家があることが多いので、ライフラインを引き込む必要があります。
場合によっては敷地内に電線を支える支柱を設置する必要があり、その費用は数十万になることもあります。

*駐車が困難

一般的には旗竿地の「竿」に当たる間口の細い部分に駐車をしますが、間口の広い整形地よりも駐車をするのは難しいと言えるでしょう。
ちなみに、少し大きめの車を駐車する場合は最低でも3メートル、コンパクトカーを駐車する場合には2.6メートルが最低でも必要となります。
間口が狭いという点は、通行のしづらさや自転車の置きづらさがネックになるでしょう。

*日当たりが悪くなる

前の章でも紹介したように、旗竿地の周囲には住宅が多いので、日当たりが悪くなる欠点があります。
日当たりが悪くなると、カビやコケの発生や目に見えない床下や木材の腐食、そして屋内の雰囲気がどんよりするなど、悪影響を引き起こしてしまうでしょう。
反対に、旗竿地に隣接する整形地の家が気をつかうというケースもあり得ます。
旗竿地にカーポートを設置することは多くありますが、このカーポートによって隣接する整形地の家の採光が遮られてしまうのです。

□ 旗竿地の上手な使用法について

旗竿地を上手に活用する方法についていくつか紹介をします。

*2階にリビングを設置する

日当たりが悪いという問題を解決する際に有効となるのが、2階にリビングを設置することです。
2階であれば、周囲の住宅に関係なく日差しが当たるでしょう。
その一方で、階段の昇降が大変になる点や1階の防犯性が低下するという問題が挙げられます。
これらの問題点も加味した上で、二階にリビングを設置するか否か判断するようにしましょう。

* 有料駐車場スペースの利用

ある程度の金額はかかってしまいますが、旗竿地を十分に利用したいのであれば有料駐車場スペースを利用することをおすすめします。
通行のしづらさや自転車の置きづらさを解決できるでしょう。
また複数台の車を所有する場合、旗竿地では同時に車を出せませんが、有料の駐車スペースでは可能です。

□ まとめ

今回は旗竿地の利点と問題点、そして上手な活用法を紹介しました。

不整形地は家を建てると住居に使えないスペースが出来やすいですが、そのスペースに中庭や書斎スペースを作ることでその土地ならではの家が作れます。

また、駐車のしにくさにあまりストレスを抱かず、2階にリビングを設置することに抵抗感がない人にとって、旗竿地は最適と言えるでしょう。
1軒家に求める要素を加味したうえで、旗竿地に家を建てることを選択肢の一つにいれてみてはいかかでしょうか。

著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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