ここ数十年、家庭での消費エネルギー量を減らす為に、住宅の断熱化が進んでいます。屋根や壁、床に断熱性の高い建材を使うことと、太陽の光と、自然の風を有効に利用することが主な方法です。

十分に断熱化された住宅は、冬は暖かく、夏は涼しく過ごせます。暖められた空気が上に昇って留まることなく対流するので、室内の温度差がなくなり、足元が冷えるというような現象が起きない冬を過ごせます。家の中の温度差も少ないので、寒い季節であっても、早朝のキッチンや夜中のトイレ、浴室や脱衣室の寒さが抑えられます。その結果、冷暖房にかかる費用が抑えられるので、経済的です。

注文住宅を建てる際に、よりよい断熱化をすることは、快適な暮らしと、光熱費の倹約を実現します。住宅の断熱化には、断熱性の高い屋根や壁、床にすることはもちろんですが、窓や玄関などの開口部の断熱化も非常に重要です。窓の重要性について考えていきましょう。

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パッシブデザインとは?

日本は、四季のある国です。季節によって、気候が変化します。その気候の変化は、自然の美しさで私たちを楽しませてくれる一方、健康に悪影響を与えるほどの温度や湿度を上昇させたり、下降させたりもします。家の中に入ってくる陽射しも、季節によって変化します。

そのような季節の変化に対して、電気の力に頼らず、住宅の創り方で、快適な室内環境を調えることが、パッシブデザインの目的です。寒い冬には、冷気を家の中に侵入させず、暖かい陽ざしをたくさん採り入れ、早朝でも暖房なしで16度以上の室温にします。暑い夏には、できるだけ陽射しを遮り、涼しい風を採り入れて、エアコンなしで、35度以下の室温にします。そして、どんな季節であっても、昼間は照明をつけずに明るく過ごせます。そんな生活をパッシブデザインが実現させます。そして窓は、パッシブデザインの実現に大きな影響を与えます。パッシブデザインの持つ要素について確認しておきましょう。

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パッシブデザインにおける窓の役割

  • 住宅の断熱性

家の中からの熱の流出、家の外からの熱の流入を防ぐ働きが断熱性です。断熱性が低い住宅では、暖房をしても家の中が暖まらず、冷房をしても涼しくなりません。なぜなら、暖房の熱は家の中から外へ逃げ、太陽の直射熱は、家の中に侵入してくるからです。もし、この熱の出入りを抑えられれば、断熱性は高まります。最小限の冷暖房で、季節の変化に対応し、適温を維持できる室内環境が調います。

住宅の断熱性を高めるためには、最も重要なのは開口部です。断熱性の高い屋根や壁、床はもちろん必要ですが、それだけでは、十分な断熱性は得られません。なぜなら、家の中と外の熱の出入りのうち、半分以上が窓を通るからです。夏の太陽の直射熱は、7割近く窓から侵入します。冬の暖房の熱は、約半分が窓から逃げていきます。隙間風が侵入してくる場所は、換気扇と窓です。したがって、屋根、壁、床に、どんなに高品質な建材を使ったとしても、窓の断熱性が低ければ、住宅の断熱性は完璧にはならないのです。

  • 日当たり

太陽の陽射しは、冬は室内を暖かくしてくれますが、夏は室内の温度を上昇させます。パッシブデザインは、冬は効率よく陽射しを採り入れ、室内を暖め、夏は陽射しを遮って、室内を涼しくさせるという考え方です。

効率よく陽射しを採り入れるためには、窓の位置とサイズが重要です。窓の向きや位置は、周辺の環境や、住宅の形状に合わせて、十分なシミュレーションをし、十分な日射取得性を持たせる必要があります。密集した住宅地に建つ狭小住宅の場合、周辺の環境や、プライバシーの確保という観点から、窓の位置とサイズには制限が出てしまいます。その制限内で、十分な陽射しを採り入れることが、パッシブデザインの実現につながります。

反対に、夏には、室温が上がり過ぎないよう、陽射しを遮らなくてはなりません。その為には、換気や通気機能で、熱の流入を抑える、陽射しをはじく外壁や屋根の建材を使う、軒や庇を長くする、窓の前に落葉樹を配置する、西側の窓は少なく、小さくするなどの工夫が必要です。さらに、窓ガラスに関しては、遮熱効果を持った機能ガラスを選ぶことも、ポイントの一つです。特に、吹き抜けと組み合わせたトップライトは、夏の室内の温度を、非常に上昇させます。トップライト用のブラインドを取り付けるとともに、遮熱タイプのLow-e複層ガラスを選ぶと、遮熱効果が高まります。狭小住宅 東京 パッシブデザイン

  • 風通し

自然の風を採り入れると、家の中の空気が動きます。自然の風の通り道ができている家の中は、常に空気がきれいで、涼しい環境が調えられます。自然の風の通り道を作るためには、窓の位置と開閉方法が重要です。最適な窓の位置は、その地域に吹く風の性質、隣家や道路など、周辺の環境との位置関係によって変わります。

また、窓と窓との位置関係、窓の開閉方法によっても、影響を受けます。対面の窓、高さの違う窓、1階と2階の風の通り道を作る窓を配置することが大切です。窓を配置する面や、他の窓との位置関係によって、室内に風を採り込めない窓になってしまう場合には、ウィンドキャッチ窓を採り入れます。ウィンドキャッチ窓とは、縦軸を中心にして、外側に押しだして開くすべり出し窓のことです。外に押し出されたガラス面に、風が当たって、室内に流れ込んできます。

それらの要素を考えあわせた上で、家の中に効率の良い風の通り道を作ると、風通しが良くなります。風通しの良さは、常に自然換気が行われている状態を作るので、カビが生えたり、結露が発生したりすることも避けられます。狭小住宅 東京 パッシブデザイン

  • 明るさ

太陽の光は、私たちの生活に、暖かさや暑さだけではなく、明るさも届けてくれます。自然の光で、十分な生活ができる明るさを採り入れることがパッシブデザインの考え方です。晴れた日でも照明をつけないと生活できないという環境になるリスクが高い狭小住宅においては、光を採り込むことに加えて、採りこんだ光を、光が届きにくい家の奥や、下の階に届かせることも重要課題です。

明るい室内を実現するためには、窓と吹き抜けや、スキップフロアなどとの組み合わせが効果的です。密集した住宅地で、外部からの視線を気にせず、光を採り込める窓にするためには、トップライトやハイサイドライトを採用します。そして窓から採りこんだ光を、吹き抜けで下の階へ、スキップフロアで、家の奥まで届けます。

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窓の機能性

パッシブデザインにおいて、重要な位置を担う窓は、その機能性によって、より快適さを向上させる働きをします。

  • 断熱 
    断熱性が高い複層ガラスは、サッシの種類、ガラスの種類によって、断熱性能の高さが異なります。最も断熱性の高い窓は、樹脂サッシ+トリプルガラスの窓です。
    ただし、この組み合わせの窓は、高価なため、現在日本国内で、最も普及しているのは、樹脂アルミ複合サッシ+複層ガラスの組み合わせです。東京は、比較的温暖な地域なので、樹脂アルミ複合サッシ+複層ガラスの窓でも、十分に断熱できます。
  • 遮熱
    トップライトや、西側に設置する窓の場合、遮熱効果のある窓にすることで、夏の室内の温度上昇を抑えられます。
  • 風通し
    ウィンドキャッチ窓や、ドレーキップ窓など、前後に開閉する方法の窓は、通り過ぎてしまう風を採り込みます。

パッシブデザインの家にするためには、設計に見合った窓が重要です。優秀な設計と機能性の高い窓の組み合わせが、無駄なエネルギーを使わず、1年を通して快適に暮らせる家を実現させます。

ホープスの狭小住宅への想い

狭小住宅 東京 パッシブデザインホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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