家族の動線や、家の中の環境、インテリアに階段は影響を与えます。

暮らしやすさに繋がる階段の位置やタイプは、家の広さや、形状によって、変わってきますが、特に、3階建て住宅、狭小住宅では、階段は暮らしに大きく関わります。

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階段と家族の動線の関係

床面積が広く、廊下や居室の多い家と、それぞれの階がワンフロアになっている家でも、階段の位置は、家族の動線に大きな関わりがあります。

動線のひとつは帰宅動線です。家族の帰宅動線は、玄関からリビングが最も多いのではないでしょうか?それを考えると、玄関を入ってすぐの場所に階段があり、2階や3階に上がることもでき、リビングの入ることもできる間取りは、動線で考えると効率の良い間取りです。

ただ、玄関から直接、階段を上がれる間取りは、家族のコミュニケーションを少なくする間取りでもあります。家族の誰かが出かけたり、帰宅したりしても、気が付かないこともあります。

家族の自然な触れ合いを、大切にしたいと考える人にとっては、家の中心のリビングに階段がある間取りが好まれます。 リビングを通らなければ、出かけられない、帰宅時には、自分の部屋に行けないからです。

このような状況であれば、母親が家事をしている時でも、常に子供に「行ってらっしゃい」「おかえりなさい」と声をかけることができます。子供が年頃になり、家族との交流が減ってしまったり、いつの間にか出かけてしまったりするような事態が避けられます。

その一方、客間のない間取りで、リビングで来客をもてなす場合、リビングを通りにくいので出かけられない、2階にトイレがない間取りでは、リビングを通りにくいのでトイレいけないというような事態になることもあります。

また、2階の音が下の階に響いたり、1階の調理のニオイが2階に拡がったりしやすい階段でもあります。生活の時間帯がずれている家族の場合、リビングで発生する音が早く就寝する家族の睡眠を妨げたり、調理のニオイが、2階で勉強している子供の、集中力の妨げになったりすることもあります。

家族構成や暮らし方によっては、リビングにある階段は、使いやすい階段にもなり、使いにくい階段にもなるのです。階段の位置は、家族構成や、家族の暮らし方に合わせて、考えることが大切です。

階段に関係するもう一つの動線は、家事動線です。階段は、洗濯に関わる家事の負担を大きくします。洗濯機のある場所から階段への距離が遠いと、さらに家事負担が大きくなってしまいます。

玄関のそばに浴室や洗面所がある間取りであれば、玄関入ってすぐの階段は、家事負担を軽減します。リビングダイニングキッチンの奥に浴室や洗面所がある間取りであれば、リビング階段が、家事負担を軽減します。天井を低くして、階段の段数を減らし、その分は吹き抜けで、圧迫感をなくすというような方法もあります。段数が減れば、多少でも上り下りは楽になることに加えて、階段に使う面積も抑えられます。このように家全体の間取りに合わせて、階段の位置を考えると、家事負担が軽減できます。

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階段が室内環境に与える影響

日当たりや風通しの為に、トップライトをつける場合、スケルトン階段と組み合わせると、より光と風を家中に届けることができます。

スケルトン階段は、蹴込板のない階段なので、段と段の間を光と風が通り抜けるだけではなく、視線も抜け、空間に広がりを作ります。特に狭小住宅では、トップライトとスケルトン階段の組み合わせが、狭さによる圧迫感をなくし、開放的な雰囲気を実現します。

ただし、その一方、空間が拡がる為、冷暖房の効率が落ちてしまうことがあります。温度管理がしにくくなって、冬は冷え、夏は暑い家になってしまうのです。そのようなことを避けるためには、高い断熱性を備えた屋根、壁、床、窓にしておく必要があります。

また、階段のタイプによって、安全性が変わってきます。最も安全な階段は、広い踊り場が付いた箱型の折り返し階段です。踏板の幅を長くすれば、より安全です。ただし、その分、床面積は圧迫されます。かね折れ階段は、折り返し階段ほど面積を使わずに、設置できる階段です。直線階段は、床面積は螺旋階段に次いで、床面積を倹約できる階段です。安全性は、曲がる部分がないので、低下します。

螺旋階段は、最も床面積を倹約できる階段ですが、両手に大きな荷物を抱えると、安全に上り下りできないことがあります。小さな子供やお年寄りのいる家庭では、踏み外す恐れもあり、安全性が高いとは言えません。

*かね折れ階段と折り返し階段の違い かね折れ階段は、途中で踊り場を挟んで、L字型に曲がっているタイプです。折り返し階段は、途中で踊り場を挟んで、コノ字型に曲がっているタイプです。どちらのタイプも、踊り場の形は、床面積に余裕があれば正方形や長方形です。面積を倹約する場合には、三角形です。踊り場を長くできれば、安全性が高まります。

もう一つ、忘れてはならない階段は、スキップフロアです。スキップフロアには、一気に1階から2階まで上がる階段が必要ありません。その為、上り下りに関しては、安全性の高い階段です。狭小住宅においては、床面積を有効に使える、光と風が家の奥まで届く、視線が抜け広々とした雰囲気のなるなどの良さもあります。高低差のある敷地では、非常に有効な設計の手法でもあります。

ただし、スキップフロアは、間仕切壁がない為、空間が繋がり、冷暖房の効率が悪くなります。夏は、トップライトと吹き抜けのあるリビングほどではありませんが、冷房が効きにくくなります。冬は、冷気が溜まりやすい下の階は、なかなか暖まりません。その為、高い断熱性を備えた屋根、壁、床、窓にしておく必要があります。スキップフロアを取り入れたい場合、他の階段に比べると、建築費が嵩んでしまうことや、熟練した施工業者でなければ、イメージ通りの出来上がりにならない恐れがあることも、覚えておかなくてなりません。

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階段がインテリアに与える視覚的な影響

階段のデザインや建材は、室内の雰囲気に影響を与えます。広い廊下があり、上り下りする以外の時には、目に入らない位置にある場合を除いて、階段のデザインや建材は、室内の雰囲気に影響を与えます。

階段と吹き抜けの組み合わせや、スキップフロアは、部屋に光と風を採りこむ以外に、室内の雰囲気を開放的にします。階段と吹き抜けの組み合わせの場合は、階段のタイプによって、その雰囲気はより変わります。

片側が壁に面している階段には、安定感があります。大きな窓に面しているスケルトン階段は、たくさんの光を採りこみます。踊り場のある階段は、遊びのあるスペースが作れます。リビング階段に螺旋階段を選ぶと、室内のインテリア性が上がり、おしゃれな雰囲気が作れます。

鉄骨の階段はシンプルでシャープな雰囲気、木材の階段は暖かみのある雰囲気というように、建材の質感によっても、階段がインテリアに与える影響は変わります。

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階段は昇り降り以外にも利用できる

階段の利用と言えば、まず思いつくのが階段下の利用です。階段下のスペースは、様々な用途に使えます。

階段下を利用して、キッチンを設置

階段下を利用したトイレ

階段下を利用した収納

この他にも、ペットの寝室、子供の勉強コーナー、洗面コーナーなど、様々な使い方ができます。

また、階段自体を部屋のように使うことも、収納にすることもできます。

階段の図書コーナー

収納をそのまま階段にした特注の「箱階段」

趣味のコーナーとしての階段

間取りプランを作る時に、階段の位置やタイプだけではなく、階段の有効活用についても考えると、便利な階段、楽しい階段が作れます。

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ホープスの狭小住宅への思い

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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