都市部の暮らしには、徒歩やバスで学校や仕事先に行ける、家の近くで買い物ができる、夜遅くまで人通りが多く、安心感があるといった魅力があります。一方、都市部の土地は高額なので、家を建てる場合、大きい家は建てられません。

大きい家が好き、家で過ごす時間が長い、外出するよりも家にいる方が好き、周辺に家や店舗がない別荘地のような環境で暮らしたいという人にとっては、都市部の暮らしは好ましいものではないかもしれません。しかし、多くの人にとって、便利で、楽しいことの多い都心部の暮らしは、魅力的です。

半永久的に、その暮らしを手に入れる為、自分の家を持ちたいと考える人は、少なくありません。それを叶える選択肢には、狭小地を購入して、狭小住宅を建てる方法と、マンションを購入する方法があります。さらに、住まいを購入するなら、戸建てにしたいという場合には、狭小住宅を建てることになるでしょう。

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狭さを感じさせない間取りの工夫

狭小住宅では、購入した土地に建てられる家の面積と、家族の人数によって、家の階数を決めます。2階建では、十分な床面積を得られない場合には、3階建の住宅にするのです。3階建て狭小住宅の間取りを考える時、工夫しなくてはならない点の一つが狭さを感じさせない間取りにするということです。

土地の形にもよりますが、狭小住宅はどうしても狭さによる圧迫感のある雰囲気を持つ室内になってしまいます。しかし現実には、圧迫感のある部屋では、長時間過ごすことはできません。その為、狭さを感じさせない間取りの工夫が求められます。

吹き抜け
吹き抜けとは、階上の部屋と階下の部屋を繋ぐ縦に長い空間です。狭小住宅に取り入れると、室内環境に大きく影響します。

  • 開放的な空間を作り、狭さを感じさせない
  • 日当たりの悪い1階の部屋、3階建の場合には、1階と2階の部屋の日当たりを良くする
  • 風通しを良くする
  • 狭い為に安っぽいインテリアになることを防ぎ、おしゃれなイメージを演出する

ただし、吹き抜けには、問題点もあります。

  • 住宅に高い断熱性と気密性がないと、冷暖房が効率良く働かず、冬は寒く、夏は暑い室内環境になってしまう
  • 住宅に高い耐震性がない場合、耐震性を確保する為に、奥行きが狭い吹き抜け、壁に囲まれた吹き抜けなど、残念な吹き抜けになってしまう

→ せっかく吹き抜けがあるにもかかわらず、光が階下の部屋まで十分に届かない、風が通らない、吹き抜けの持つ開放感がないなど、中途半端な吹き抜けになってしまいます。

  • 2階、3階の居住面積が減る

→ 吹き抜けの分、床が減るので、居住面積が削られてしまいます。ただし、日当たりと風通しは家族の健康のために、絶対に必要な住宅の条件です。吹き抜けを採用する場合には、吹き抜けで削られる面積を、他の部分で補う工夫をしなくてはなりません。

  • ニオイと音が伝わりやすい

→ 吹き抜けは、縦に空間が繋がっているので、階下にあるキッチンの調理のニオイが、階上の部屋まで伝わる、話し声や音楽が、階下の部屋、階上の部屋に響くという問題点があります。

家族の生活の時間帯がほとんど同じである家庭や、お客様の少ない家庭では、あまりに気ならない問題かもしれません。ニオイや音は気になるが、どうしても吹き抜けを設置したいという場合には、居室の配置を十分に考慮する必油があります。

スキップフロア
スキップフロアとは、1階と2階、2階の3階の間にあるフロアのことです。間仕切り壁がなくなり、空間が横に拡がるので、開放感のある空間が生まれます。吹き抜けの解放感は、空を感じる開放感ですが、スキップフロアの解放感は、部屋の広さを感じる開放感です。狭小住宅に、スキップフロアを取り入れると、室内環境に大きく影響します。

  • 狭さを感じさせない
  • 床面積を有効に使える

→ 建物の高さに対して法的な規制がある場合、スキップフロアを採用することで、規制の制限内で、床面積を増やせます。また、段差を利用して収納スペースを作れるので、収納スペースの為の床面積を少なくできます。

  • 日差しと風が奥まで届く

→ 間仕切壁がなくなるので、日差しや風が遮られることなく、奥まで届きます。

ただし、スキップフロアには、問題点もあります。

  • 住宅に高い断熱性と気密性がないと、冷暖房が効率良く働かず、冬は寒く、夏は暑い室内環境になってしまう
  • 施工する工務店によっては、残念なスキップフロアになってしまう

→ スキップフロアの設計と施工に、充分な経験値のある設計士や工務店ではなかった場合、移動しにくい間取り、せっかくスキップフロアにしたにもかかわらず、風や光が届かない室内、落ち着かない間取りになってしまう恐れがあります。

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床面積を無駄にしない収納

狭小住宅では、限られ床面積の中で、無駄のない収納を作ることが大切です。

壁面・階段下などのデッドスペースを利用する
収納スペース用に床面積を使わないですむ場所に収納スペースを設置する方法です。壁面、階段の踊り場、階段下、スキップフロアの下などを利用します。

収納スペースをまとめる
各居室に細かな収納スペースを作らず、家族の生活動線に合わせた大型の収納スペースを設置する方法です。細かな収納スペースを作ると、無駄に床面積を使ってしまいます。

また、収納する物のサイズに合わせた奥行きや幅で作らないと、使い勝手の悪い収納スペースになってしまうこともあります。玄関やリビングに大型のウォークインクローゼットや、ウォークスルークローゼットを作り、家族全員が使うようにすれば、無駄がありません。床面積だけではなく、建具も節約できます。

収納する物に対する考え方
物に対する考え方は人それぞれですが、必要最小限のものを大事に使うという考え方が、狭小住宅での収納に役立ちます。

  • このシーズンに着なかった服は処分する
  • 食器は家族の人数分プラス2

→ お客様が多い家庭では、それなりに必要ですが、客用の食器セットなどは、収納を圧迫します。お客様が頻繁にいらっしゃらない場合には、2人分程度あれば、何とかなります。

  • 食料品の買い置きを増やさない

→ 都市部では、店舗が近くにたくさんあります。郊外の住宅に住んでいて、車でなければ買い出しに行けず、1週間分の食料品を、まとめて購入するというような生活ではありません。食料品の買い置きを増やさなければ、大型のパントリーを作らなくても済みます。

  • シーズナル用品は使い捨てを選ぶ

→ 大型のクリスマスツリーや雛人形は、収納を圧迫します。玄関ドアに飾るクリスマスリースのように、使い捨てのシーズナル用品に切り替えてはいかがでしょうか?

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家具の選び方

家具には置き家具と造作家具があります。置き家具は、床面積を無駄にしないので、狭小住宅には便利な家具です。凝った造作家具は高価ですが、大工仕事の造作家具は、それほど建築費を圧迫しません。

収納
置き家具の収納家具は、床面積を圧迫します。壁面や階段下を利用した造作家具にすれば、サイズが合わず、隙間ができてしまったというような無駄が出ません。

リビングダイニングキッチン
狭小住宅では、ダイニングとキッチンを共用するケースがほとんどです。そして、その空間は細長いことが多いので、ダイニングテーブルの配置が難しいこともあります。そのような場合、ダイニングキッチンの間口と奥行きに合わせて、キッチンカウンターやダイニングテーブルを造作家具で作る方法があります。細長いリビングであっても、部屋の形状に合わせたサイズのテレビ台を作れば、限られた空間にピッタリ収まります。

狭小住宅で、快適に暮らす為には、室内環境を良くする為の設計上の間取りの工夫、床面積を無駄にしない収納の工夫、収納を無駄に使わないものに対する考え方が大切です。暮らしやすい狭小住宅の間取りプランを作り、快適な都市部の生活を、お過ごしください。

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HOPEsの狭小住宅への思い

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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