自分の好みに合った住宅を建てたい人にとって、デザイン住宅やデザイナー住宅は魅力的です。ただ、趣向を凝らすあまり、雰囲気は良いが、日常的な生活には向かないというような住宅になってしまうケースもあります。おしゃれで洗練された雰囲気があり、なおかつ暮らしやすい住宅の家づくりについて考えてみましょう。

Works(株)ホープスの建築実例

デザイン住宅とは?

デザイン住宅と聞くと、有名な設計家やデザイナーが設計した家が思い浮かぶのではないでしょうか?設計家やデザイナーが独自のコンセプトのもとに作り上げる個性的な住宅です。しかし、デザイン住宅と呼ばれる住宅の中には、有名な設計家やデザイナーが設計した家以外の住宅もあります。

外観や外構などが作る住宅の持つ外からのイメージ、内装や空間構成が作る家の中のイメージ、間取りと住宅の性能が作る暮らしやすさ その全てに対して、施主の好みに合わせて、独自の趣向を凝らして設計、建築される住宅がデザイン住宅です。

そしてその外観デザインは多様です。ここ数年で人気が高まっているデザインは、シンプルモダンと言われるすっきりした外観の家です。落ち着いたトーンの外壁色、片流れ屋根や三角屋根と箱型の形状が組み合わされだけの単純な外観です。しかし、シンプルさの中で、箱の組み合わせ方、袖壁の使い方、窓の位置や大きさなどによって、異なった雰囲気が演出されます。

アメリカンスタイルのデザイン住宅は、カリフォルニアに街並みにあるようなカジュアルな雰囲気の家です。アメリカ文化が身近にある日本人にとっては、なじみやすいテイストの家なので変わらない人気があります。

また、自然志向の人の間では、北欧風の内装をしたデザイン住宅の人気が高まっています。ホワイト系の壁と無垢材の寄棟天井やフローリング、木のサッシの窓、ペンダントライトやスタンドを使った間接照明などで、ナチュラルで落ち着いた雰囲気の内装のデザイン住宅です。

この他にも、和風モダン、南欧スタイルなど、デザイン住宅には実に様々なテイストがありますが、良いデザイン住宅の要素はそれだけではありません。設計、デザインに合わせたグレードの高い建材を使っているデザイン住宅は、質の良いデザイン住宅です。パッと見た目にはおしゃれな感じがするけれど、なんだかチープな印象があるというようなデザイン住宅は、建材や建具のグレードが低いからです。

そして最も大切な要素は、快適な暮らしやすさを保証する住宅性能を備えているということです。デザイン住宅は意匠を凝らすために、様々な設計上の手法が取り入れられます。そしてその手法によっては、一般的な住宅より高い断熱性や気密性、耐震性が必要になることもあるのです。その為、設計、デザインを補う住宅性能を持たせたデザイン住宅は、見た目が良いだけではなく、快適な室内環境も調っています。反対に、デザインだけにこだわり、住宅の性能や、家族構成やライフスタイルに合わせた間取りなどが配慮されていないデザイン住宅は、現実の暮らしには向いていません。

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暮らしやすい間取りにするポイント

デザイン住宅を建てる時、暮らし始めてからの快適さを持たせた間取りにする為に必要なポイントにはどんなことがあるでしょうか?

周辺の環境、敷地の形状 

広大な敷地の中にぽつんと建てる一軒家であれば、窓の位置や家の形状などは、太陽の方向に合わせれば事足ります。しかし、住宅街に建てる家の場合は、周辺の環境、家の建て込み具合、道路との位値関係に十分配慮しなくてはなりません。家自体のデザインがどんなに良くても、暮らしにくい家になってしまう恐れがあるからです。道路や周辺の家からの視線に配慮した窓や玄関の位置と大きさ、開閉方法、また、周辺の景観に調和する外観、敷地の形状に合わせた家の形状について考える必要があります。

また、家の形状と周辺の環境との兼ね合いによっては、日当たりや風通しの悪い家になってしまう恐れがあります。その為、周辺の環境に合わせて日当たりや風通しをする為に、吹き抜けやスキップフロア、トップライトなどを取り入れるといった工夫が求められます。これらの手法は、デザイン性を上げることにも結び付きます。周辺の状況に応じて、家の中の環境を向上させるための設計の手法と、デザイン性を上げることをいかに結びつけるかという部分が、デザイン住宅の洗練度を決めるとも言えます。

家族の生活動線

家族構成や家族の暮らし方によって、快適な間取りは異なります。間取りを考える際に、イメージや見た目の良さだけにとらわれず、暮らし始めてからの生活を具体的に思い描いて間取りを決めることが大切です。主婦の家事負担を増やしたり、減らしたりする要は家事動線にあります。効率よく家事ができる間取りにすることが家事負担を減らします。また、家族全員が同じような時間帯で生活する家庭では、朝、洗面所やトイレが混みあい不便を感じることがあります。洗面台やトイレの数を増やす、家族の生活動線を配慮して考えられた水回りと居室の位置関係などが盛り込まれた間取りが、ストレスのない暮らしを作ります。

収納

部屋の中や玄関をいつもすっきりさせておく為には、使い勝手の良い収納が必要です。せっかく収納スペースを作っても、生活動線上出し入れしにくい位置にある、サイズが合わず、しまいたい物が入れられない、又は奥行きが深すぎて、奥に入れたものは入れっぱなしになってしまうというような収納スペースは役に立ちません。家族全員が使いやすい位置にあり、収納する物のサイズにあった収納スペースが、すっきりした部屋を作ります。

窓の位置と大きさ

窓はたくさんあると風通しがよくなる、大きい方が日差しをたくさん採りこめると考え、窓の数を増やし過ぎると、家具の配置がしにくくなってしまいます。窓の位置を決める時には、隣家や道路との位置関係に加えて、家具の配置も考えてくてはなりません。窓だけではありませんが、間取りを決める時には、家具選びと並行して進めることが理想的です。

ライフスタイルの変化

子育て中であれば、子育てがしやすい間取りにしようと考えるかもしれません。しかし、子供は数年すれば成長して、中学生、高校生になり、やがて独立していきます。その為、子供の成長と独立、子供夫婦との同居、夫婦の高齢化など、人生における暮らし方の変化に柔軟に対応できる間取りを考えます。

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家づくりで注意が必要な部分

特にデザイン住宅で注意が必要な部分は、イメージにとらわれ過ぎないということです。インテリア雑誌や映画のワンシーン、住宅のコマーシャルなどのイメージ通りの家で、実際に暮らした時の家族の暮らし方はどうなるでしょうか?生活動線や家具や家電の位置など、暮らし始めてからのことを、一つ一つ具体的に思い起こして間取りを決めていくことが大切です。

もう一つ大切なことは、住宅の性能です。住宅の性能は、外観や内装と違い、目には見えません。しかし、生活の快適さと安全を支える重要なポイントです。吹き抜けやビルトインガレージなどが採用されていても揺るがない耐震性、スケルトン階段やスキップフロアなどが採用されていても冬暖かく夏涼しい家を実現する断熱性といった住宅の性能が大切なのです。

HOPEsの狭小住宅への思い

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

敷地の形、道路や周辺の環境に合わせて、日当たりと風通しの良い家、プライバシーを確保できる家、高いインテリア性と優れた住宅性能を持つ暮らしやすい家、安心して暮らせる防犯性の高い家をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

狭小住宅としての参考になる建築実例がたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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