狭小住宅でのキッチン以外の水回りは、どうしても他の部屋の間取りの都合に合わせて、位置や広さが決められてしまいがちです。しかし、家事動線から考えても、家族の生活動線から考えても、おざなりにはできない場所でもあります。

主婦にとっては家事負担が少なく、家族にとってはストレスのない浴室、脱衣所、洗面所にする為のポイントを考えてみましょう。

脱衣所と洗面所を兼用し洗濯機を置くケース

狭小住宅では、浴室と隣接する脱衣所は洗面所も兼ねている間取りが多く、洗濯機も脱衣所においてあります。無理に脱衣所と洗面所を区切ると、どちらも非常に狭くなってしまい、使い勝手が悪くなってしまうからです。

新築で失敗したと感じ、後悔している人の中で、洗面所と脱衣所が狭すぎて使い勝手が悪いという意見は少なくありません。物が溢れてどうしようもない、着替える場所がない、身体を横にしないと洗濯機の前を通り抜けられない、朝、洗面所を使っている家族がいると洗濯物を洗濯機から取り出せない、収納や出入り口の扉が邪魔になるなどの感想です。

このような感想を参考にすると、使いやすい洗面所、脱衣所にする為には、必要最小限の広さは確保することと、家全体の間取りとの位置関係を考慮することが大切だと考えられます。

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家事動線

脱衣所と洗面所を兼用し、洗濯機を置くという組み合わせになっている場合の主婦の家事動線で、最も家事負担に影響するのが洗濯物を干す場所です。都心部では、外に洗濯物を干さないというお宅もありますが、ベランダに干す場合には、洗濯機のある場所から、重い洗濯物をベランダまで運ばなくてはなりません。

夕方になれば取り込んで、アイロンをかけたり、畳んだ衣服や下着をしまったりする作業もあります。その為、洗濯物を干すベランダがあるフロアに浴室・洗面所兼脱衣所を持ってこられれば、家事負担が軽減できます。

特に子供のいる家庭では、朝の時間は主婦にとって非常に忙しい時間帯です。朝食とお弁当を作る、子供を起こす、洗濯機を回して干す、自分の仕事に出かける準備をするなど、たくさんのことをこなさなくてはなりません。朝の時間帯の家事負担を軽減できれば、ストレスもかなり減るはずです。

そして、洗面所兼脱衣所に、下着や子供のパジャマ類を収納できるスペースを確保すれば、洗濯した衣服をしまったり、子供の入浴準備をしたりする手間も省けます。洗面台の上におけるアイロン台があれば、アイロンかけも済ませられます。

家族の生活へ影響

脱衣所と洗面所を兼用し、洗濯機を置くという組み合わせの場合、家族にストレスがかかる恐れがあるので、その対策も必要です。

浴室、洗面所兼脱衣所という組み合わせでは、家族の誰かが入浴中は洗面所が使えない、反対に洗面所を使っている人がいると入浴できないからです。子供が小さいうちはこのようなトラブルはおこりませんが、家族の生活時間帯によっては、子供が中学生、高校生になると、それがストレスになることもあります。

また、来客があった場合、洗濯機が置いてあり、脱衣所も兼ねている洗面所は生活感が出てしまうので、通しにくく感じる人もいるかもしれません。間取りの余裕があれば、脱衣所と洗面所を分ける方が家族のストレスは減りますが、一緒にした方が洗濯物をしまう収納スペースを作るなど、余裕のある空間にできます。

お客様を通したり、入浴中にほかの家族が洗面所を使えるようにしたりする為の対策としては、小さな洗面台を階段下のデッドスペースなどを利用して設置する方法があります。リビングのそばに置けば、生活感のない洗面台は、お客様に使っていただきやすいです。玄関のそばに置けば、外出から帰った子供たち通りすがりに手洗い、うがいができるメリットがあります。また、夫婦の寝室に置けば、洗面用品や化粧品などが置いておけるので、洗面所のモノが減ります。そして夫婦がそこで朝の支度をそこですれば、子供たちは、浴室にある洗面所で支度できるので、朝の時間帯に洗面所が混雑するストレスも避けられます。

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収納スペース

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

脱衣所と洗面所を兼用する場合、どうしても物が溢れてしまいます。しかし、家事効率を良くする為には脱衣所と洗面所にしまっておきたいものもあります。その為、限られた空間の中で効率良く収納できるような工夫が必要です。

脱衣所に収納したい物は、下着やパジャマ、洗面所に置いておかなくてはならないものは、家族それぞれの洗面道具、タオル、洗濯機を置くのであれば、洗濯用洗剤や洗濯ネットなどです。シャンプーの買い置きや、浴室の掃除用洗剤などもあるでしょうし、アイロン台や洗濯ハンガーも置けるものなら置いておきたいところです。

狭くても使いやすくする為には、これらのモノがきっちり収納されていなくてはなりません。壁と洗濯機の上の空間を無駄なく使い、収納スペースを作り、タオルや、下着、パジャマなどをしまえるようにしておくと便利です。

収納スペースはオープンな棚にするのがベストですが、扉をつけたい場合は、開閉時に邪魔にならないよう、引き戸にしておく方が無難です。

洗面台

洗面台の選び方で洗面所の雰囲気と収納力は違ってきます。ただ、どんなに雰囲気が良くても、メーカーのカタログ写真のような広々とした洗面所に設置された幅の広い洗面台洗面台はつけられません。

手頃なサイズのシステム洗面台は、洗面台自体の収納力は高いのですが、カウンターが狭く、使い勝手良くないタイプが多いです。限られた空間の中で使い勝手が良く、工夫次第で高い収納力を発揮する為には、造作洗面台が向いています。デザインが画一的ではなく、好みの洗面ボールや水栓を組み合わせられるので、洗練された雰囲気の洗面所が演出できます。サイズ的にもカウンターの幅、高さなどを自由に調整できますし、アイロン台を置くこともできます。洗面所兼脱衣所では、入浴後に着る下着やパジャマの置き場所に困ることがあります。洗面台が狭くてもカウンターに脚部をのせ、洗面ボールをまたげるような台があれば、アイロンがけ以外に、入浴後の衣服を置く場所として使えます。

ただし、洗面所の洗面台は顔も洗うので、十分な大きさと深さがあるタイプを選ぶ必要があります。デザインの良さだけで選んでしまうと、周囲に水が飛び散り、常にカウンターが水浸しになってしまう、壁紙や床に水のシミがついてしまうというようなことになり、使い勝手の悪い洗面台になってしまいます。

浴室と脱衣所を組み合わせ洗面所は別にするケース

家族の人数が少ない、居室が狭くなっても、毎日使う場所なので、脱衣所や洗面所にもある程度の広さを持たせたいというような場合には、脱衣所と洗面所を別に作ることもできます。洗面所と脱衣所の間は仕切りと、行き来できるような引き戸を作り、洗面所にも脱衣所にも別の入り口から出入りできるという間取りです。そうなれば、家族の誰かが入浴中でも洗面所が使えます。また、脱衣所に洗濯機を置けば、お客様に洗面所を使っていただいても気にならなくなるのではないでしょうか?

浴室と脱衣所、洗面所を組み合わせるケース

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夫婦だけの暮らしであったり、来客用のトイレがある場合には、浴室、脱衣所、洗面所とトイレの組み合わせも選択肢の一つです。仕切りが省かれる分、空間を広く使えます。

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HOPEsの造る暮らしの質を向上させる水回りの空間

浴室、脱衣所、洗面所は毎日使う場所であり、清潔さを維持したい場所です。それと同時に湿度が高くなりやすい場所、物が溢れやすい場所でもあります。家族がストレスを感じないで使える場所、清潔さを維持し、物が溢れない洗面所にすることは、生活の質を向上させます。

施工事例の中から、たっぷり収納でき、洗濯機も置ける脱衣所兼洗面室と独立した洗面台をご紹介します。

実用性をきわめた!驚きの収納がたっぷりの完全分離2世帯住宅

 

 

 

 

 

 

 

 

玄関も水回りのすべて完全分離の二世帯住宅の狭小住宅の脱衣所兼洗面室です。

暮らし方を大切にする、北側3階リビングの狭小住宅

 

 

 

 

 

 

 

デッドスペースを利用した独立した洗面台です。

大家族が住む狭小住宅。4つの子供部屋と2台駐車の家

 

 

 

 

 

 

 

 

洗面所が個室になっていないので、大人数の家族でもストレスなく使えます。

HOPEsの狭小住宅への思い

 

 

 

 

 

 

 

ホープスは、狭小住宅での快適な暮らしを実現させたいという思いで、すべての住宅の建築に向き合っています。
根本にあるのは、狭小住宅での快適さとは、無駄を省いたシンプルな暮らしにあるのではないかという考え方です。

居室の広さ確保や家事動線、生活動線との兼ね合いを配慮しつつ、使いやすい浴室、脱衣所、洗面所をご提案します。

狭いから快適さをあきらめるのではなく、より快適な暮らしを目指して、施主様のご希望に沿った家にしていきます。

ご紹介した施工例以外にも浴室、脱衣所、洗面所の参考になる施工例はたくさんございます。ぜひご覧ください。

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著者情報

清野 廣道

清野 廣道

株式会社ホープス代表 
一級建築士
横浜市出身・1995年7月ホープス設立
限られた敷地条件を最大限に活かした、風・光・緑の感じることのできる空間提案を心がけています。

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